親から実家を相続したけれど、自分が住む予定はない。
すぐに売るのも寂しいし、荷物も残っている。
兄弟とも、まだきちんと話していない。
「とりあえず、そのままでいいか。。。」
気持ちは、とても分かります。
実家は、単なる土地と建物ではありません。
思い出もありますし、親が大切にしていたものを簡単に処分できないのは当然です。
ただ、少し耳の痛い話をします。
空き家は、放置しても現状維持にはなりません。
毎年少しずつ傷み、価値が下がり、費用と面倒だけが増えていきます。
「とりあえず放置」は、何も決めていないように見えて、実は一番お金がかかる選択になるかもしれないんです。
誰も住まない家は、想像以上に傷みます
人が住まなくなった家では、換気がされません。
小さな雨漏りがあっても、誰も気づきません。
庭の草木は伸び、雨どいは詰まり、郵便物がたまります。
害虫や小動物が入り込むこともあります。
水漏れが発生しても、発見されるのは数週間後かもしれません。
誰も住んでいないから、何も起きない。
ではありません。
誰も住んでいないから、起きたことに気づけないんです。
固定資産税、火災保険、電気や水道の基本料金、草刈り、清掃、修繕、遠方なら交通費。
一つひとつは小さく見えても、何年も続けば、それなりの金額になります。
そして、建物の状態が悪くなれば、売却するときの価格にも影響します。
数年前なら普通に売れた家が、放置したことで「建物付きの土地」ではなく、「解体費用のかかる土地」になってしまうこともあります。
法律も「そのままでいい」とは言わなくなりました
2023年12月に施行された改正空家法では、「管理不全空家」という区分が新しく設けられました。
以前は、倒壊の危険や衛生上の問題などが深刻な「特定空家」が主な対象でした。
現在は、そこまでひどい状態になる前でも、
「このまま放置すると特定空家になるおそれがある」
と判断された空き家が、管理不全空家として自治体から指導を受ける可能性があります。
例えば、窓の一部が割れている。
屋根や外壁が傷んでいる。
雑草や木の枝が近隣に影響している。
このような状態を放置し、自治体からの指導にも対応せず「勧告」を受けると、土地に適用されていた住宅用地の固定資産税の軽減措置が受けられなくなる可能性があります。
200㎡以下の小規模住宅用地では、固定資産税の課税標準が6分の1に軽減されています。
その特例が外れれば、課税標準だけを見れば6倍になります。
よく「空き家を放置すると固定資産税が6倍」と言われるのは、この話です。
ただし、空き家になった瞬間に税額が必ず6倍になるわけではありません。
自治体から勧告を受けた場合の話であり、実際の税額も土地の評価や負担調整などで変わります。
ネットの見出しだけで怖がる必要はありません。
でも、
「まだ倒れそうな家ではないから大丈夫」
とも言えなくなった、ということです。
相続登記も、もう放置できません
もう一つ、大きく変わったのが相続登記です。
2024年4月1日から、相続登記が義務化されました。
相続によって不動産を取得したことを知った日から、原則3年以内に相続登記をする必要があります。
正当な理由なく手続きをしなかった場合、10万円以下の過料の対象になる可能性があります。
この制度は、2024年4月より前に相続した不動産にも適用されます。
以前に相続したまま名義を変更していない不動産は、原則として2027年3月31日までに対応する必要があります。
「昔の相続だから関係ない」
ではありません。。。
相続登記をしないまま次の相続が発生すると、関係する相続人がさらに増えてしまうことがあります。
売却したくても全員の話がまとまらない。
誰が管理するのか決まらない。
必要な戸籍を集めるだけでも大変になる。
時間がたてば解決するどころか、話はどんどん複雑になります。
売ることだけが正解ではありません
相続した実家を、すぐに売りましょうという話ではありません。
自分や家族が住む。
賃貸として活用する。
リフォームして残す。
建物を解体して土地を利用する。
定期的に管理しながら、少し考える時間をつくる。
家ごとに事情が違うので、正解も違います。
ただし、何も決めず、何も管理せず、建物が傷むのを待つことだけは、おすすめできません。
迷っている間も、家は待ってくれないからです。
「そのうち考える」が、一番高くなる前に
空き家の問題は、ある日突然始まるものではありません。
少しずつ草が伸びます。
少しずつ雨水が入ります。
少しずつ建物が傷みます。
少しずつ相続人が増え、話が難しくなります。
そして、気づいたときには、
「もっと早く相談しておけばよかった」
となります。
相続した実家をどうするか決められなくても構いません。
まずは現在の名義、建物の状態、維持費、売却した場合の価格、活用できる可能性を知る。
それだけでも、今後の選択肢は整理できます。
不動産屋に相談すると、すぐに売却を勧められそうで嫌だという方もいると思います。
私も、よく分からないまま話を進められるのは嫌いです。。。
まるのいえでは、売る、残す、貸す、解体するという選択肢を一緒に整理したうえで、その家に合った方法を考えます。
相続した実家。
とりあえず放置する前に、一度だけ立ち止まって考えてみてください。
何もしないことが、一番お金のかかる選択になってしまう前に。
※相続登記や税金、自治体による空き家の判断は、個別の状況によって異なります。具体的な手続きは、自治体、法務局、司法書士、税理士などの専門家へ確認してください。
株式会社 まるのいえ

